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明治初期、維新によって職を失った元尾張藩士海部壮平・正秀兄弟は借金がかさむ中、弟の正秀が「鶏を飼わっせ。一日の餌代は二厘か三厘で一個一銭になる卵を産みますぞ」と成鶏を東春日井郡池林村(現在の小牧市池之内)で飼い始めました。試行錯誤の連続で十年以上の年月が過ぎ、それでも新品種の作出に没頭し、掛け合わせを何回も何年も続けた末に、地鶏と中国生まれの鶏バフコーチンの掛け合わせが新品種となり、ついに名古屋コーチンが作出されました。日本家禽協会によって、初の「国産実用鶏」として、明治38年3月10日に認定されました。
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<カレールゥを使って時短調理タンドリー風チキン>
名古屋コーチン石焼 かな和
<名古屋コーチンの卵を使った濃厚ホットケーキ>
ノエル ド ティオ
<塩と水で茹でるだけ!素材の味が生きるポトフ>
シェ シュシュ
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海部兄弟の末裔が所有されていた「海部養鶏場百分之一絵図」(縦60センチ、横95センチ)の中に全盛期の海部養鶏場の様子が描写されています。約1,150坪に及ぶ広大な敷地内には、34室の大小さまざまな鶏舎が立ち並び、雛鳥を含め5,000羽が飼育されていました。
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名古屋コーチンは鹿児島の薩摩鶏と秋田の比内鶏と並んで、日本三大地鶏の一つとして知られています。
地鶏とは、日本在来種の純系もしくは在来種の血液率が50パーセント以上の品種のものを指し、飼育期間が80日以上、一平方メートル当たり10羽以下で飼育しているなど様々な条件が定められています。
名古屋コーチンは両親とも名古屋コーチンという純粋な血統を守っており、こうした完全な地鶏は全国でも名古屋コーチンだけといわれています。
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名古屋コーチンは卵をよく産み、肉もおいしいことから、「卵肉兼用種」に分類されています。「名古屋コーチン」という呼称で広く知られていますが、正式な品種名は「名古屋種」といいます。
鶏冠(とさか)は鮮赤色で単冠、眼は赤栗色を示し、耳朶(じだ)は鮮赤色、嘴(くちばし)は淡黄褐色、脚は鉛色(灰色)である。羽色はバフ色(淡い黄褐色)を基調とし、雄は羽色がやや赤味が強く、尾羽は緑黒色を呈する。雌は体羽のほとんどがバフ色で、一部に尾羽の先端が黒色を呈するものがある。
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鶏肉用に飼育される名古屋コーチンの20週齢の体重は、雄で2.7~3.0Kg、雌で2.0~2.4Kgとなります。出荷される日齢はおおむね120~150日ですが、雄の方が雌より早く出荷される傾向があります。
名古屋コーチンの肉質は弾力に富み、よくしまって歯ごたえがあり、「こく」のある旨みがあります。昔ながらの「かしわ肉」の味が楽しめます。
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採卵用に飼育される名古屋コーチンが一年間に産む卵の数は約250個(産卵率約70%)です。
名古屋コーチンの卵は美しい桜色をした卵殻が特徴です。卵の中には白い斑点が付いているものも見られます。
卵はやや小ぶりですが、卵黄の色は濃く、舌触りは滑らかで、味は濃厚で「こく」のある美味しさがあります。
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「ひきずり」とは尾張地方に伝わる鶏肉のすきやきのことで、「鍋の中で鶏肉をひきずって食べた」ことが語源といわれています。(「今年の嫌なことを新年までひきずらないように年末に食べる」という説もあります)
名古屋コーチン発祥の地である池之内地区では、40~50年前まで秋祭りやお正月などの日に「お日待ち」と呼ばれる地域住民の会合で、名古屋コーチンの「ひきずり」がご馳走に出されていたそうです。
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小牧市から始まった名古屋コーチンの歴史。この地域資源を最大限に活用し、小牧市は名古屋コーチン発祥の地として、観光振興・事業者振興に取り組んでいます。
愛知県内でも減少傾向にある養鶏業者も、小牧市では若い後継者により引き継がれています。食品製造では、原材料に名古屋コーチンの肉・卵を使った新商品が数多く作られており、それらの関連商品は、新たに設立された卸・小売事業者により日常的に購入できる機会が作られています。また外食で名古屋コーチンを食べることができるよう市内飲食店でも様々なメニューが考案され、ジャンルを問わず名古屋コーチンを味わうことができます。
私たちは、名古屋コーチンが地鶏の王様として、そして発祥の地として、更に地域ブランドの価値を高め、皆様に知っていただき、食べていただけるよう「小牧発祥!名古屋コーチンを育てる・磨く・つなぐ・伝える」プロジェクト活動を進めてまいります。
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